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【人間ドック】~胃がん検査・健診の内容は?~

コラム 2022/03/01

「胃がん」と「ピロリ菌」の関係

今から約40年前、日本人のがん患者では「胃がん」が圧倒的に多く、死亡率の割合は1位でした。

現在は胃がんでの死亡率は減少傾向にあるものの、医療が発達した日本でも未だ毎年5万人もの人が胃がんにより死亡しています。

もともと胃がんはストレスや喫煙、食生活が大きく関係していると思われてきましたが、実は「ピロリ菌」という強い胃酸の環境下にも生息できる菌が原因であることが分かりました。

「ピロリ菌」は1983年にオーストラリアの博士により発見され、現在に至るまで様々な研究がなされました。これらの研究によって、ピロリ菌は胃炎や胃十二指腸潰瘍、そして胃がんとの関係性が深いことが明らかにされました。

「ピロリ菌」の感染経路は?

ピロリ菌の感染経路は未だ完全に解明されてはいませんが、水等が不衛生な環境であると感染すると考えられています。

その為、昔の日本人は野山の水からピロリ菌に感染し、胃炎や胃十二指腸潰瘍などを繰り返し、胃がんになる人も多く見られました。

現代の日本では上下水道設備が整っており、衛生環境も整備されているためピロリ菌に感染する乳幼児や幼児は少ないですが、衛生環境が整っていない発展途上国では依然、若年層での感染が多く見られます。

酸の強い胃の中でピロリ菌が生息し感染するには、菌が胃に定着しなければなりませんが、成人では免疫防御機能が働くため、自然に免疫力で退治することができ、たとえ感染しても一過性の胃炎などで終わることがほとんどです。

しかし、胃の粘膜にピロリ菌が定着した状態になると、胃粘膜の損傷や胃炎を引き起こします。ピロリ菌により、胃炎が一過性では終わらず何年も続くようになると萎縮性胃炎という状態となり、胃がんが発生するのに高リスクの状態となってしまいます。

ピロリ菌に感染した人全員が胃がんになるわけではありませんが、日本人の胃がん患者の約99%はピロリ菌がいる人から起こっています。

中年以降に増える「胃がん」

胃がんは中年以降に発症することが多く、特に50歳代から急増します。

胃がんは長期にわたる胃炎などの胃の中の環境悪化、刺激により発症します。胃の中の環境悪化には、塩分の多い食生活や過度な飲酒、喫煙、ストレス、過労があげられます。
さらに前述したピロリ菌は衛生環境の悪かった現在の50代以上が、乳児期に感染し、保菌している場合があります。
胃がんは初期症状がほとんどなく、進行している場合でも症状がほとんどないこともあります。しかし、早期に発見できればほぼ完治が見込める病でもあります。40代や50代は今まで続けてきた生活習慣や食生活などが症状となって現れやすい年代です。

是非、年に一度は精度の高い健診をうけ、健康維持に努めることをおすすめします。

胃がん検診の検査方法は?

胃がん検診では、胃のほかに食道や十二指腸を含む上部消化管の検査をおこないます。
これによって主に胃がん・胃潰瘍・胃炎・胃ポリープ・十二指腸潰瘍のリスクや病変を調べることができます。
検査方法としては、医師による問診に加え、胃エックス線検査、または胃内視鏡検査を実施します。

①エックス線検査
食事を抜いた状態でバリウムと発泡剤をのみ、胃の状態をエックス線写真で観察します。所謂バリウム検査の事です。
胃全体の形が分かりますが、食道や食道胃接合部などの観察しにくい場所では、病変がわかりにくいなどの難点もあります。

➁内視鏡検査
内視鏡(小型カメラが装着された直径5㎜〜10㎜の細い管)を鼻や口から挿入し、食道・胃・十二指腸を観察します。
胃粘膜を鮮明に見ることができるため、出血やわずかな病変も確認することができ、精度の高い検査といえます。
事前に飲食の摂取制限があったり、内視鏡の挿入には苦痛が伴うこともあります。

バリウム検査でどこまで分かる?

一般的にバリウム検査と呼ばれるエックス線を用いる検査は、正式には上部消化管造影検査と言います。
この検査では通常のレントゲン撮影とは違い、何度もエックス線を照射しながら行います。

バリウムが口から食道、胃、十二指腸へと流れていく様子を動画で見ることができ、食事の際に実際に飲食物が流れていくような様子を見ることができます。この流れで、食道や胃、十二指腸が狭くなっていないかどうかが分かります。
また、体を回転させながら照射することで、胃潰瘍による胃粘膜のくぼみや胃炎の有無なども見ることができます。

慢性胃炎の場合は、胃の粘膜表面が胃酸過多や暴飲暴食によって、通常の胃の粘膜と異なり荒れた状態になっています。とろみのあるバリウムは荒れた胃の細かいしわのような場所にたまるため、ちりめん皺のような特徴的な模様が写ります。

胃潰瘍や胃ポリープは胃がんや食道がんの初期段階の可能性の場合があります。
バリウム検査で精密検査や再検査などの指摘を受けた場合は必ず改めて内視鏡などの検査を受けましょう。

筑波健診センターは食道、胃、十二指腸、大腸などの消化器を専門とする筑波胃腸病院の健診センターです。早い段階での消化器系の癌の発見に特に力を入れています。
筑波検診センターの人間ドックコースでは、日帰りの大腸検査を中心としたコースと、胃の検査を中心としたコースを用意しています。
さらに1泊コースでは、大腸と胃の両方を検査できるコースもあります。

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