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血液検査では何が分かる?
血液検査では何が分かる?
健康診断や人間ドックで必ず受ける血液検査。血液検査には様々な項目があり、身体の状態を知る大切な検査であることはわかりますが、具体的にどんな病気のリスクが分かるのでしょうか。
今回は血液検査の中でも一番項目の多い、〈生化学検査〉で分かる病気のリスクを詳しく見ていきます。
主な血液検査項目
日本人間ドック学会が定める一日ドックの血液検査項目には、
〈生化学〉
総蛋白・アルブミン・クレアチニン・eGFR・尿酸・総コレステロール・HDLコレステロール・LDLコレステロール・Non-HDLコレステロール・
中性脂肪・総ビリルビン・AST(GOT)・ALT(GPT)・y-GT(y-GTP)・ALP・血糖(空腹時)・HbAlc
〈血液学〉
赤血球・白血球・血色素・ヘマトクリット・MCV・MCH・MCHC・血小板数
〈血清学〉
CRP・血液型(ABO Rh)・HBs抗原
があります。
上記は人間ドックの血液検査項目を参考にしており、健康診断では項目がさらに少なくなります。
では具体的にこの項目からどんな病気のリスクや身体の状態が分かるのでしょうか?
〈生化学〉検査で分かる病気のリスク
【総蛋白】TP
血液中に含まれるたんぱく質は100種類以上ありますが、その総和が「総蛋白(TP)」です。
1dL(1デシリットル=0.1リットル)の血液の中に「6.6~8.1g」を基準値としています。
基準値より低い場合には低栄養や肝臓の機能低下、肝疾患等が疑われます。
【アルブミン】ALB
血液中のたんぱく質の種類の中で、最も多いたんぱく質です。基準値は「4.1~5.1g/dL」となり、こちらも数値が低い場合には低栄養や肝機能低下が疑われます。
【eGFR】
腎臓の機能を表す指標です。基準値は腎臓の中の糸球体が1分間にろ過している血液の量で表し、「60.0mL/分/1.73㎡以上」となります。数値が低い場合には、腎臓の機能低下が疑われます。
【尿酸】UA
尿酸はたんぱく質の一種であるプリン体が代謝されたものです。尿酸値が高いと痛風を引き起こしたり、動脈硬化や肝機能障害を引き起こすリスクが高くなります。基準値は「2.8~7.8mg/dL」です。
【総コレステロール/HDLコレステロール・LDLコレステロール・Non-HDLコレステロール/中性脂肪】
・HDLコレステロールは善玉コレステロールを言い、基準値は「41〜100mg/dL」です。
・LDLコレステロールは悪玉コレステロールを言い、基準値は「65〜163mg/dL」です。
・Non-HDLコレステロールは全てのコレステロールからHDL(善玉コレステロール)だけを除いたものを言い、基準値は「90〜149mg/dL」です。
・中性脂肪は「TG」で表され、「33〜172mg/dL」が基準値となります。
体脂肪の大部分を中性脂肪が占めており、身体を動かす大事なエネルギーです。さらに、寒さや暑さからも身体を守り体温を一定に保ってくれますが、増えすぎると肥満の原因となります。
・最後に総コレステロールは「TC」で表され、HDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールを合わせたものを言います。基準値は「142〜248mg/dL」です。
【総ビリルビン】T-Bil
ビリルビンとは胆汁に含まれる色素を言い、総ビリルビンの値で黄疸を確認することができます。基準値は「0.2〜1.2mg/dL」で、値が高い場合には肝臓や胆道に異常がある確率が高くなります。
【AST(GOT)・ALT(GPT)】
肝臓の機能を調べるための肝細胞内にある酵素を言います。基準値はASTが「13~30U/L(マイクロリットル)」、ALTは「8~36U/L」です。
健康な人ではALTよりASTが高値を示しますが、肝臓に何らかの障害が見られる場合にはALTの方が高くなります。
【y-GT(y-GTP)】
こちらも肝細胞内にある酵素を言い、ガンマジーティーと読みます。基準値は「男性が64U/L以下」、「女性が32U/L以下」となります。γ-GTは飲酒状態に対して変動するので、アルコール摂取の多い人は高値となります。
【ALP】
こちらも肝臓や胆道の病気を調べるために用いられる酵素で、アルカリホスファターゼ
と読みます。基準値は「38〜113U/L」で、ALPは骨にも多く存在する酵素の為、骨の病気を知る手掛かりにもなります。
【血糖(空腹時)】
一般的な検査では朝食を取らずに(10時間以上食事をしない状態で)測定した血糖値を言います。空腹時血糖が高い場合には糖尿病が疑われたり、将来糖尿病になるリスクが高いとされます。基準値は「4.9~6.0%」です。
【HbAlc】
ヘモグロビンエーワンシーと呼び、血液中のヘモグロビンとブドウ糖が結合したたんぱく質の一種です。検査前の飲食に左右されずに過去1~2ヶ月の平均的な血糖値を知ることができます。基準値は「4.9~6.0%」で数値が高いと高血糖により血管にダメージが起きていることが分かります。このような場合は糖尿病による合併症のリスクが高まります。
※一般社団法人 日本臨床検査医学会 臨床検査のガイドライン JSLM2021「基準範囲・臨床判断値」を参考にしています。
今回紹介した生化学検査の基準値は、男女共有基準値となり、男性・女性と分けた場合には基準値が異なります。
しかし、自身の健康診断や人間ドックの検査結果からこれらの数値を確認することは、自分の身体の状態を知る第一歩となるでしょう。